木がいっぱい、葉っぱもいっぱい

『気候変動に立ちむかう子どもたち 世界の若者60人の作文集』が出ます

アクシャート・ラーティ編『気候変動に立ちむかう子どもたち 世界の若者60人の作文集』(太田出版)の翻訳を担当いたしました。

3月26日から順次店頭に並ぶようです。また、HonyaClub.comやe-honなどのネット書店でもご注文いただけます。HonyaClub.comとe-honは、全国のさまざまな書店で店頭受取を指定でき、街の本屋さんの応援にもなります。よろしくお願いいたします。(もちろん、アマゾンや楽天ブックスでも購入可能です)

www.ohtabooks.com

 

簡単に内容というか、本書のポイントをご紹介します。

気候変動は地球規模の、切迫した問題であるということは近年いろいろなところで言われています。それでも、対策は遅々として進んでいません。もはや個人の努力では根本的な解決にはならない。システム全体を変えなければならない。そうでないと、自分たちが暮らす未来がなくなってしまう。そういう危機感から、若い世代が立ち上がっています。その筆頭がグレタ・トゥーンベリで、彼女が始めた「フライデーズ・フォー・フューチャー」の学校ストライキは一大ムーブメントになりました。トゥーンベリは国連の会合などにも招かれて、各国のリーダーたちに向かって強い言葉で行動を求めました。

……と、ここまではおそらく誰でも知っている話でしょう。日本でも連日報道されていました。問題は、「ここまで」しか報道されることが少ないために、「ここまで」しか知らない人が非常に多いことです。

そのため、批判にすらなっていない非難(?)が横行しています。いくつか例を挙げるなら、
「グレタ・トゥーンベリだけが一人、祭り上げられて目立っているだけでしょ」
「運動は先進国の金持ちの偽善。発展途上国は経済発展が大事なんだから気候変動対策など求めている人は誰もいないよ」
「学校ストライキやデモなどのパフォーマンスしかやっておらず、科学的に実効性のある対策を何もやっていないじゃん」

これらに対してここで細かく反駁することはしません。本書を読んでいただければ、上の批判(とすらいえないもの)は全て当たらないことがわかるからです。

簡単に言うなら、この本は「グレタ・トゥーンベリ以外」にフォーカスしたものです。グレタ・トゥーンベリの果たした役割はもちろん大きい。しかし地球規模の気候変動に立ちむかう運動は、グレタ・トゥーンベリただ一人に集約されないような、多面的で多層的なものです。それをまず知ってもらうための本だと思います。

寄稿している若者たちと同じ世代にはもちろんのこと、もっと上の世代にもおすすめしたい一冊です。

 

 

私に翻訳の機会を与えてくださり、作業の進行中もさまざまなアドバイスやお力添えをくださった関係者の皆様に心から感謝申し上げます。